そもそも「朝活」などというものは、
人類の自然な生体リズムに対する一種の裏切り行為に他ならない。
午前四時半の夜明け前の薄暗い暗闇のなか、早朝出撃を敢行した結果、
午前九時の段階で「もう今日やることが何一つない」
という恐るべき巨大な虚無空間に直面するハメになった。
台風接近の影響で涼しい風が吹き、
体重4.8キロの我が相棒の犬もやけにモソモソと元気なふりをしているが、
なぜかドッグフードは頑として食おうとしない。
一方、体重58キロのジーさんである私はといえば、血圧が「139の80」
という見事な数値で安定し、無駄に体力を持て余している。
そこで私はPCの前に座り、MLBの中継をチラチラ見ながら、
昔の建築図面や家計簿記録を「AI」という未知の知的生命体に食わせてみるという、
謎のサイバー実験を開始した。
そんなデジタル知的遊戯にも飽きた私は、
ふと膨大な写真を整理してやるかと思い立ち、
画像編集ソフトの巨頭「アドビ・ライトルーム・クラシック」
を起動させた。ところがどうだ。
シリコンバレーからやってきたこの巨大な黒船ソフトは、私のささやかな要求に対して、
冷酷無比なる「エラー」の連発で応えてきたのである。
まるで「場末の老兵になど構っていられるか」と言わんばかりの、
見事なまでの門前払いである。
私はキーボードをガシガシと叩き、
マウスをカチカチと狂ったようにクリックして反撃を試みたが、
アドビの強固なデジタル防壁の前には、
血圧が安定した程度の58キロの肉体など何の役にも立たない。
無情なエラー画面が連続して表示されるたび、
私の戦意はパラパラと音を立てて崩れ落ちていった。
「アドビももう駄目だな……」私は負け犬のように誰に言うともなくつぶやき、
年内のサブスク解除という名の「無条件降伏」を決意したのである。
窓の外を見ると、明日の台風直撃を予感させる重たい風がヒュルヒュルと吹いている。
明日は一日中雨の予報だ。犬は相変わらず何も食わず、床で丸くなっている。
明日はいったい何をして、この長すぎる一日をやり過ごせばいいのだろう。
私はただ、無意味に安定した己の血圧の数値をぼんやりと思い浮かべながら、
部屋の片隅で深くため息をつくのであった。



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