闇を裂く誘導灯と、胸に抱いた温かな爆弾
カーテンの隙間から差し込む光の気配を伺い、雨音に怯えながら瞼を開ける。外はどんよりとした鼠色の空。幸いにも霧雨程度だ。後ろポケットに頼もしい相棒である折りたたみ傘をねじ込み、日課のウォーキングへ繰り出す準備を整えたのだが、出発前の儀式である血圧測定が早くもケチをつけてきた。
上が149、下が90。液晶に浮かび上がった絶望的な数値に、我が心拍はさらに乱れる。いささか心当たりがあるとすれば、週明けに控えた病院の定期健診という名の審判だろう。
一歩外に出れば、そこは完全なる漆黒である。近くの池へと続く小道は、もはやこの世の裂け目のように暗く、懐中電灯のか細い光だけが唯一の救いだ。
「何事も起きませんように」という祈りは、得てして神に届かない。庭で用を足させたのも束の間、よろめきながら水飲み場へ向かう愛犬の両脇を必死で支える。喉を潤した彼女の視線が「次は大です」と告げたため、抱きかかえて再び外へ向かおうとしたその瞬間、私の腕の中で静かな衝撃が走った。
ポロリ。
玄関のタタキに、見事な放物線を描いて何かが落ちた。腕の中の彼女は知らん顔である。大慌てでお尻を拭き、床を磨き上げ、寝床へ運ぶと、彼女は何事もなかったかのように満足げな寝息を立て始めた。
妻が帰宅した後は、愛車のバッテリー上がりを防ぐための30分ドライブへ。フロントガラスを撫でる雨を眺めながら、激動の午前中がようやく幕を閉じたことを知る。手はかかり、身体は軋むが、この静かで騒がしい日常こそが愛おしい。
0 件のコメント:
コメントを投稿