7/16/2026

前立腺の悲鳴 〜予期せぬ「入院宣告」と田舎暮らしの葛藤〜

 

 

私の体が突如として悲鳴を上げ始めたのは、今週初めのことでした。

身体が発した強烈な「異常信号」

日頃から体調管理には気を配っていたつもりでしたが、明らかに「何かがおかしい」と感じる異変が私を襲ったのです。最初は「単なる加齢のせいだろう」と高を括っていましたが、状況は刻一刻と悪化の途を辿りました。

平熱は36度前半の私ですが、気づけば体温は37度を超えていました。そして、さらに深刻な予兆が姿を現したのです。 ふとした瞬間に漂う尿の臭いが、まるでお魚のトロ箱のような、鼻を突く強烈な生臭さに変わっていました。さらには、膿のような混じり物が現れ、今朝ついに血尿まで……。


慌てて近所の泌尿器科を探しましたが、目に付くのは繁華街の裏路地にある、どこか入りにくい雰囲気のクリニックばかり。一刻を争う状況であることは百も承知でしたが、どうしても足が向きません。

「とりあえず市販薬で凌ごうか」と逃げ道を探しましたが、止まらない頻尿のせいで外出さえままならない始末。「まずこのトイレ(排尿)を治してから病院へ行こう」などという、本末転倒な考えが頭をよぎるほど、私は混乱の極致にありました。


決死の思いで辿り着いた大病院

しかし、階段を降りるたびにギシギシと響く関節の痛み、そして止まらない膿と出血。「これでは本当に手遅れになる」と意を決し、ようやく辿り着いたのは地域の中核を担う総合病院でした。

待合室は、私と同じように不安を抱えた同年代の高齢者で溢れ返っています。CT、血液検査、尿検査、エコー……。矢継ぎ早に進む検査の波。後から来た患者さんに次々と先を越されながら、1時間以上の待ち時間を過ごしました。心配性のA型の血が騒ぎ、高鳴る鼓動を必死に抑えながら「早く呼んでくれ」と心の中で念じ続けます。

 

「診察室へどうぞ」

ついにその時が来ました。50代ほどに見える医師は、モニターに映る画像と数値を見つめたまま、淡々と問いかけてきます。 「どこが痛い?」「熱は?」

そして、思考が凍りつくような数値を告げたのです。

驚くのも無理はありません。体内の炎症を示す「CRP」が、基準値 0.30mg/dl のところを 6.78。 そして何より、前立腺の異常を示す問題の「PSA」が、基準値 4.00ng/ml のところをなんと 45.507ng/ml。実に基準値の約11倍という異常値です。

前立腺癌を疑われても、全く仕方のない数値でした。そこで医師から発せられた言葉は、重く冷たいものでした。

 

「今日から、入院できますか?」


混乱、そして急展開

頭が真っ白になりました。検査結果の詳細も聞かぬうちに入院? 私の体はそれほどまでに悪いのか? もしかして、本当に癌……?

医師の説明によれば、前立腺に強い炎症があり、画像に影も見られるとのこと。「精密検査と治療のため、即入院が必要」という判断でした。私は慌てて「今日は車で来ているんです」「来週はどうしても外せない予定があって……」と食い下がりましたが、結局は家族に連絡し、翌日からの入院を覚悟するしかありませんでした。

 

ところが、事態はそこから急展開を迎えます。 看護師さんが測った私の血圧は、極度の緊張と恐怖からか、上が180を超えていました。慌てた看護師さんに促され、震える手でお薬手帳を提示すると、それを見た医師の表情が変わったのです。

私の持病や、これまで診てくれている「かかりつけ医」の存在を知った医師は、こう切り出しました。 「……紹介状を書きますから、いつもの病院へ行ってください。そちらで診てもらうのが一番でしょう」

その言葉の真意は、私には分かりません。この病院では手に負えないほどの重症だという宣告なのか、それとも、私の体質を熟知している主治医に委ねるという配慮なのか。

不安の種が消えたわけではありません。しかし、「いつもの馴染みの病院の方が安心だ」と自分に言い聞かせ、私は紹介状と一週間分の薬を握りしめ、逃げるように総合病院を後にしました。

家族を残しての入院という葛藤

頂いた処方箋を近くの薬局へ持って行き、薬を購入しました。 前立腺肥大症の薬である「ハルナールD錠0.2mg」、抗菌薬の「クラビット錠500mg」、そして解熱鎮痛剤の「カロナール錠500」の3種類。うち2種類は選定療養対象医薬品で、最後のカロナールは少しでも節約をと後発医薬品(ジェネリック)を選びました。年金貧乏生活の、ささやかな抵抗です。

家に帰り、妻に事の顛末を話し、二人で色々相談しながら慌てて入院準備を始めました。下着、パジャマ、日用品……。

 

私自身、3度目の入院となるため、入院生活自体に辛い気持ちはありません。しかし、この交通の便も悪い田舎の集落に、妻と16歳の老犬を残して、区内の病院へ入院することには強い躊躇いがありました。「どうにかなるわよ」と笑ってくれる妻ですが、老犬の介護だけでも大変な思いをしているのを知っているからです。

ともあれ、心を含め全ての準備が整ったところで、行きつけの病院へ電話を入れました。 事の次第を詳しく話し、泌尿器科の予約をとり、通院手続きは完了。あとは通院日まで、買ってきた薬を飲んでこの痛みと不安を抑え込むしかありません。

「ボケまい」と始めた田舎暮らしでしたが、まさかこんな形で立ち止まることになるとは。

lakenoe.blogspot.com

果たして、私の前立腺はどうなってしまったのか。癌なのか、それとも……。 紹介状の束を横目に、私はかかりつけ医での次なる診察を待つことになりました。

(次回「かかりつけ医での再検査」へ続く)

 


 

---------------次回は掛かり付けの病院--------------------

0 件のコメント:

コメントを投稿